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2015年2月17日 (火)

楽譜マニア?

2月は学校がお休みなので、家での〜んびりしております

テーブルに楽譜を並べてはニヤニヤしています(変態?)


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でもこれを見たら僕の気持ちがわかってもらえることでしょう


これらの楽譜はMinkoff=ミンコフというスイスのジュネーブにある出版会社から出版されていたのですが、2009年に倒産してしまったそうで、今日では入手困難な楽譜です。
ミンコフからしか出版されていない曲集も多々あるので、本当に残念ですね。


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全てギターメソード!下は左からF.カルリ(1825年出版)、M.カルカッシ(1825)、D.アグアド(1826)、そしてF.ソル(1830)。
僕がクラシックギターを習い始めて最初の1、2年は阿部保夫編のカルカッシギター教則本で勉強したので、とても思い入れがあります。


上の楽譜は日本では(ヨーロッパでも)殆ど知られていないと思いますが、左は前半がA.バイユ、後半がルモワンヌ(Antoine.Marcel.Lemoine)によって書かれている教則本(1773年)、真ん中はバイオン(Pierre-Jean.Baillon)(1781)、そしてドワジー(Charles Doisy)(1801)。
カルリやカルカッシ等の一世代前のギタリスト達ですね。


時代はもちろん古典期に入っているのだが、5コース(復弦)ギター(いわゆるバロックギター)の為に書かれています。ギターが5コースから6単弦に移行していったのは1790年頃みたいで、丁度フランス革命が勃発し、貴族社会から市民社会に変わって行き、多くの一般市民が楽器を弾くようになり、それにしたがってギターも複雑な復弦から単弦に変わっていったようです。


1795年にパリ音楽院(コンセルヴァトワール)設立されている(因にルイ16世とマリー・アントワネットは1793年に処刑された)。


興味深いのが、ルモワンヌとドワジーは同じ本の中でリラギターの為の教則本も書いていて、

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見てわかるように6単弦で調弦もギターと全く同じなのです!ルモワンヌの教則本は1773年に出版されているので、となると現代の6単弦ギター(クラシックギター、フォークギター、エレキギター等)から遡っていくとリラギターに辿り着くのかもしれないですね。なんとも思いがけない発見でした!


楽譜の写真だけ載せようと思ったのですが、ついつい歴史解説をしてしまいました


だけれども、18世紀末のヨーロッパに起こった大きな変化(フランス革命、産業革命など)、音楽や楽器に大きな影響を与えているんだなぁと、両方の歴史を照らし合わせてみて思いました。
楽譜は色んな事を物語ってくれますね

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おまけ。出版社ペトルッチによって世界で最初に出版されたリュート曲集。
F.スピナチーノ(1507年)、J.A.ダルツァ(1508年)、F.ホッジネンシス(1509年)


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スピナチーノの1ページ目。はぁ、美しい〜

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コメント

Netu Fan さん

ありがとうございます!
貴重な休みをダラダラ、そしてたまには有意義に過ごしています。
先日は楽譜を求めてフィレンツェまで行っていました。またブログで書こうと思っています。

特に自筆譜や初版譜などは良い楽器と同じように、色んな事を教えてくれますね。
なにか作り手(曲や楽器)の魂を宿しているような気がします。
それらを感じて音にしていけたらなぁと思う日々です。

演奏会やコンクール前の厳しい練習 更に学校の
テストからも解放された短い至福の時間でしょうか。

楽譜にまつわる薀蓄を興味深く読ませて頂きました。
楽譜を丁寧に読むことで作曲家の深い思いや時代背景から
意外な発見があると言うこともよく聞きますよね。
貴重な楽譜がフユキ君の解釈で見事な花を咲かせるよう
心より願っています。
技術に加えて 音楽性も深く培われて行く予感に益々
期待が膨らみます。
健康には気をつけてがんばって下さい。

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